花粉が本格的に飛散する前に抗アレルギー剤を服用しはじめることが有効といわれています。服薬開始時期はスギ花粉が飛び始める2週間程くらい前が良いといわれており、新聞、テレビの花粉情報を参考にして専門医にご相談下さい。
注射によるステロイドホルモンの全身投与のことでしょう。ケナコルトというステロイド剤がよく使われます。 ただし、副作用も多いといわれており High risk, normal return の治療法です。ケナコルトは、一度注射すると体内で3週間もの間効果を発揮するため花粉症症状にも長期間有効ですが、糖代謝に対する影響がプレドニゾロン(ステロイド剤の基本薬)の4~12倍あるといわれており、様々な副作用を発現する可能性が高くなります。患者さんがその点を十分に理解した上で行うのであれば仕方ありませんが、花粉症の治療で更にやっかいな病気になってしまうようでは困りものです。日本耳鼻咽喉科学会では、その安全性からこの治療法を推奨しておりません。
ステロイドホルモンは、アレルギー疾患に限らず色々な病気に対して適切に使用されれば非常に有効な薬です。また、ステロイドホルモンでないと治らない病気も多く存在しています。但し、長期間使用することにより副作用の出現頻度が高くなることも事実です。花粉症などで、ステロイド点鼻薬を2~3ヵ月の間使用することになると心配になるかもしれません。しかし、外用(=飲み薬や注射薬ではない)点鼻薬に含まれているステロイド薬は、一回の使用量がごく僅かであること、さらには局所(=鼻腔内)で代謝、分解されるため全身に及ぼす悪影響がなく、安全性が高いといわれています。とはいえ、漫然とむやみに使用するのは問題ですので専門医の管理の元に使用して下さい。
市販の点鼻薬の多くは、鼻づまりを改善するために血管収縮剤が含まれています。この成分は、即効性があり点鼻直後から鼻がとおってくるために、ついつい皆さん使われてしまいます。継続的に使っていると、鼻の粘膜は常に血管が収縮した状態、つまり血流低下状態になります。すると、体は酸素を要求するために、血流を保とうとする、すなわち、血管が開いた状態=鼻がつまった状態になります。すると、鼻づまりが苦しくてさらに点鼻をする→さらに効かなくなる、という悪循環に陥ります。この状態を「薬剤性肥厚性鼻炎」といいます。鼻づまりが長く続く際は、その原因治療をすることが大切です。
まず、添付されている注意書きに注目してみましょう。その中に「服用後、乗り物または機械類の運転操作をしないこと」と記載があると思います。これは、主成分であるクロルフェニラミンマレイン酸塩(第一世代抗ヒスタミン剤の1種)が脳内に取り込まれやすく、かつ、脳の活動をおさえる副作用があるためです。その作用の強さは
クロルフェニラミンマレイン酸塩2mg=ウイスキー水割り3杯分
といわれています。1日量として8mg、中には12mgものクロルフェニラミンマレイン酸塩を含んでいる商品もあり、個人差はあるものの判断力の低下が起こります。そのため、
米国の州によってはこの薬剤を服用して車の運転をすると、飲酒運転同様にみなされる
ために捕まってしまいます。また、その副作用を押さえるために脳の興奮作用のある無水カフェインも同時に含んでおり、常用すると頭痛が起こりやすくなったりします。
さらに 「 長期連用しないこと」という記載もありますが、どのくらいを長期というのかはっきりしません。スギ花粉症のシーズンは2ヶ月くらい続きますが、決して短いとはいえないですね。
花粉症に代表されるアレルギー性鼻炎の内服薬でよく使われるのが抗ヒスタミン剤です。この抗ヒスタミン剤の注意書きには以下の3種類の記載があります。
この差は薬の脳内移行性の有無によります。脳内移行性が大きいほど、脳の働きを抑える、つまり、判断力低下などを起こしやすくなります。お薬の効果には個人差がありますので、主治医とよく相談して処方を決めてもらってください。
最近の調査では、眠気と効果についての相関関係はないということがいわれております。ただし、薬の効果には個人差がありますので、実際は人それぞれ効き目は異なります。
副鼻腔炎の治療にマクロライド系という抗生物質を常用量の半量程度を長期間服用することで、大変有効であることがわかっています。ただし、マクロライド系の抗生物質のうち、構造式上14印環のもののみ効果を発揮します。胃腸系の副作用が出ることもまれにありますがごく僅かであり、医師の指導のもとに服用すれば心配は少なくて済むでしょう。治療の目安は、おおよそ3ヶ月くらいでが、効果がでない場合は漫然と継続をせず、次の治療にステップアップをする必要があります。
無呼吸回数、無呼吸時間によりますが睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。睡眠検査(夜間呼吸モニタ-検査)をおすすめします。
上記と同様、睡眠時無呼吸症候群の可能性があるので睡眠検査をおすすめします。
イビキの要因は大きく分けて ①生活習慣 ②口腔咽頭の形態 ③鼻・副鼻腔疾患 があげられます。自分自身で解決できるのは①でしょう。具体的には
1. 日頃から適度な運動を行い肥満にならないよう。(BMI , Body Mass Index=22、体脂肪率≦20% !?)
2. 飲酒はほどほどに、できれば飲まない日を!
3. 子供の頃から、堅いものをしっかり食べて下顎が発達するように。
4. 寝るときは、枕を高くしすぎず、仰向けではなく横向きに寝る。
5. 睡眠薬などの薬物による睡眠に頼らない。
なんだか、どこかで聞いたことのある注意事項と似ています。睡眠時無呼吸症候群はある意味、成人病類似疾患なのかもしれません。
なお、②、③については、専門医による診察・治療が必要です。
補聴器を購入できるお店は至るところにあり、また、価格もかなり幅があります。購入に当たっては安くて性能が優れたものが良いのは当然ですが、初めて購入する場合は悩まれることと思います。注意しなくてはならないのは、「安かろう、悪かろう」では困るということです。補聴器は電子機器ですので、必ず故障しますし、定期的な調整、掃除が必要です。購入に際しては、値段だけにとらわれるのではなく、後々のメンテナンス、補償の有無をご確認の上ご購入下さい。また、最近は補聴器の貸し出しをしてくれる販売店も多くなったので、購入前に試用を行ってから納得をした上で購入することをお勧めします。実際の値段は、補聴器は小型コンピュータのようなものなので、ノート型パソコンと同じくらいと考えれば良いでしょう。
めまいを起こす原因は色々とありますが、体の平衡感覚をつかさどっている内耳の半規管というところが障害を起こして発症する場合が多く存在します。最近では、良性発作性頭位眩暈に対して「エプリ法」という簡単なリハビリテーションによりめまい症状を消失させることができるようになりました。一度、耳鼻咽喉科専門医にご相談下さい。
俳人、小林一茶が読み上げた句で
「夜の霜 耳はしんしん 蝉の声」
という俳句があります。一茶はともと血圧が高く、めまいと耳鳴りを併発していたといわれています。冬の静けさの中、蝉(セミ)の鳴き声のような耳鳴が... 一茶の苦しみが伝わってくるようです。